不死鳥編                      情と熱の真空管編


警告
小さいとはいえギターアンプリファイア内には高電圧がかかっています。
このサイト全てにも言えますが真似をして感電、裂傷、精神的苦痛等を
あなたが被っても当方では一切の責任を負えません。
あくまでも良識ある自己責任の範囲でご参照ください。

以前から単純に状態の良い「FENDER CHAMP(TWEED)」は
欲しかったのですが、いかんせん1960年前後の楽器ですからなかなか出逢えませんでした。タマーに見かけても「実用」からは程遠く、仕方なくコピー品に目を移しても高い割に肝心の音が?でした。しかし「誰でも作れるギターエフェクター2」に掲載されている「OLD STYLE TUBE AMP」こそが私の欲しい「CHAMP」その物でしたので、どうせ「もどき」なら自分で作ってみようかなと思いネットでUSAのキット販売を行っているお店をリサーチしていました。すると「エフェクターを創ってみたよ」を文字化けの嵐ながら見てくれているらしいUSAのファンが私のエフェクターとトレードなら自作キャビネットを送ってくれるとの挑戦状メールが届きました。なんというタイミング。こうなると「いつ何時誰の挑戦でも受ける遺伝子」が騒ぎ、以後、紆余曲折ありつつも
「ホントに」キャビネットが手元に到着してしまいました。
Thank you Mr.Rose!
まかり間違えば中身より値段の高い場合もありうる
キャビネットが到着してしまったからには、
やはりシャーシや、その他のパーツを調達し
「ギターアンプリファイア製作」という未知の領域へと
一歩踏み出すのが、闘魂伝承者としての使命というか。
しかし、悲しいかな電気的知識がアレなので
キットを探すことにしました。やはり本命はUSAからの個人輸入だったのですが、JPNでもGarrettaudioさんで扱っているのを
発見し、トランスからコンデンサから抵抗から配線材まで
何やら威厳のありそうな物が一式揃っている所に魅かれ
「ヴィンテージキット」を購入してみました。
そして、ついに禁断の「真空管アンプ製作」へと突入です。
キット添付の組み立てマニュアルと、
もちろん「教科書」の両方を参照しつつ組み立てることにします。まずは、シャーシに真空管を差し込むソケットを取り付け

その他、ジャック類も取り付け
電源トランス、及び出力トランスも取り付けちゃいます。
ついに配線開始です。
添付マニュアル記載通りにトランスから出ている線や
電源コードを半田付けしていきます。
一通り作業したところで真空管のヒーター配線に間違いが
無いかチェックしてみます。パイロットランプとヒューズも装着しスイッチオフを確認し、もう一度配線に間違いが無いか確認し
プリ管(12AX7)とパワー管(6v6GT)を差込み、
もう一度配線に間違いが無いか確認してからACコードを
コンセントに差込みます。
ここで独特な緊張感が私を襲いました。
「爆発するのではないか?」「感電するのではないか?」
などなど。しかし、配線に間違いは無いはずですし
ここで引くわけにはいきません。顔を背け、腕をいっぱいに
伸ばしスイッチオン!・・・あ、パイロットランプが点灯してる!
あ、真空管が光ってる!成功した模様です。
束の間ではありますが高揚感と安堵感の交錯した瞬間で・・・
まぁ単純に嬉しかったわけです。
外堀が埋まってきましたので内部へと移行します。
ファイバーボードに打ち付けてあるハトメから実際どこに
繋がるのか確認しつつ線材をちょうど良い長さになるよう
カットします。その後どのハトメに半田付けするのか
混乱を防ぐためテープで右から順番に貼っておきました。

そしていよいよボードの製作です。
まずは抵抗からとりかかることにしました。
コンパクトエフェクターでは1/4wサイズで
充分だったのですがアンプリファイアーともなると、
はるかに大きい1/2wから2wサイズまでを
使用しなくてはならないようです。
一本一本足を伸ばしつつ多少酸化していたので
ヤスリをかけピカピカにしてからテスターで
どれくらいの誤差があるのかを後学のためにチェックしつつ
ボードに仮止めしていきます。

それと今回は大物相手ですので、
あまり自信は有りませんが
線材のもつ指向性をテスター(実は感)で
ドンキホーテチックに一本一本調べてみたりもしました。
お次はついにコンデンサです。
コイツ等がですね、電源OFF後も電気を蓄えていて
不用意に触ると「感電」するそうです。
気をつけましょう。

コンデンサもエフェクター製作時の物より耐圧数も高く、
固体も大きいものばかりです。
やはりコンデンサも抵抗と同じく一本一本足を伸ばして
ヤスリをかけサビを落としてあげました。
小心者の私は内心
「摩擦熱が引き金となり爆発するのでは?」と
ビビっていたことを
付け加えておかねばならないでしょう。
ハトメに抵抗、コンデンサ、線材を差込み
まとめてハンダ付けします。

裏側も配線しつつ一気にボードを完成へと導きます。
何が起こるかわかりませんので電解コンデンサの
プラスマイナスやハンダ付け不良を慎重に
確認しつつ作業を行いましたが
エフェクターとは違い配線スペースも大きく
多少アメリカンな気持ちでGoJhonyGoでした。
ここで、またシャーシに戻ります。
スイッチ兼ヴォリュームを一旦取り外し、
絶縁のため一枚ファイバーボードをシャーシに組み込み、
その上に重なるようパーツが乗ったボードを組み込み、
しっかりとねじ止め。
その後、実体配線図を見ながら
真空管ソケット等に配線します。
もう、この辺りまで来ると「それっぽい」感じに
見えてきますので、かなり興奮してます。
なにせ、20年近く欲しかった物に似た物体が
眼前に在るのですから。
おそらく、シャーシ内部は完成したと思われますので
スピーカーを取り付けた後キャビネットに
取り付けてしまいました。益々つのる興奮及び高揚感。
しかし、ここまでして「音が出なかったら・・・」との
不安が無いわけではありません。

心を落ち着ける意味をも含め、
スピーカーケーブルも作ってみました。
線材とジャックをハンダ付けするだけなのですが、
かなり多めにハンダを使用する箇所ですので、
後学のため違うアンプリファイアを使用し
5種類のハンダの中から、一番クリーンでありつつ
押し出しの強いものをヒアリングでチョイスしてみました。
そして、真空管を挿し、スピーカーケーブルを抜き
ダミーロードというのをジャックに接続しました。
制作上のミスがあったときスピーカーをフッ飛ばさない為の
保険らしいです。その後、スイッチを入れ
添付説明書に記載されている電圧が各所に来ているか
どうかをテスターで計りました。
どうやら大丈夫なようです。
と、なればストラトキャスターを接続し・・・
待つこと30秒弱。ジャラーン「音が出た!」
しかもかなり良い音。舞い上がりました。
が、ノイズが若干大きいので、数種の書物を参考にしつつ
コンデンサを一つ追加しました。
この辺はかなり危険を伴うと思いますので
写真等、細部は割愛です。
いくつかの試行錯誤を繰り返しつつも
ひとまず完成ということで裏ブタもとりつけちゃいます。

その後も音が出て、ひとまず安心です。
真空管なのか中身のなじみ具合なのか
見当も付きませんが、なんとなく日ごとに
音が良くなっていくように感じます。
気のせいでしょうか?
こう、録音してMP3にしての作業中ドンドン
美味しい所が削られてしまうのですが
一応、普通のストラトキャスターから直結した
音をアップしておきます。もちろんフルヴォリュームです。


Input1(378kbMP3)
Input2(285kbMP3)
その後も、「もう少し歪んでも良いかな?」の感がありましたので手持ちの真空管を差し替えてみたり実験を繰り返しています。
が、大切なのはギタリストの力量のようです。
とにかくピッキングの反応がシビアです。
ごまかせません。強く弾けば大きい音が
弱く弾けば弱い音がする。当たり前のようですが
現在、一般に流通し、しかも「名品」との評価を
受けているアンプリファイアでさえ、その「当たり前」をクリアしているものは少ないと思わざるを得ない反応の仕方をします。チャンと弾かないとまともな音になりません。しかし、まだ、タマーにですが確実にヒットしたときの音には痺れてしまいます。
「CHAMP」は「お前チャンと練習しろよ。」と言ってくれる
稀有な存在と言えるかもしれません。
「もどき」ですけど・・・
とにもかくにも、色々な人や文献のおかげで
長年、憧れていた物に近い?物を入手でき
有頂天になれるハズだったのですが
弾くたびに「私はココまで下手だったのか・・・」と
奈落に突き落とされる日々が待っていました。
しかし、この「FENDER CHAMP5F1(1959)もどき」
でマトモな音が出せるようになれば
「怖いものなし」になれるかもしれません。
それには日々精進しかありません。
つまりは「修理するのは怖いから壊れないでね」と
跪き祈る日々でもあるわけです。

ANTONIO SPECIAL Demo(520kbMP3)
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小さいとはいえギターアンプリファイア内には高電圧がかかっています。
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